※写真はイメージです (GettyImages)
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車座になってマインドフルネスを実践する様子。右から2人目が中村さん=SELECK(セレック)提供
車座になってマインドフルネスを実践する様子。右から2人目が中村さん=SELECK(セレック)提供

 コロナ禍の今、ついイライラして悪態をついたり、悩み悔やんだりすることはないだろうか。そうした心のストレスを減らす効果があるという「マインドフルネス」が注目を集めている。仏教に由来し、宗教色を取り除いた瞑想(めいそう)法だ。社員のために取り入れる企業も増えてきている。

【写真】車座になってマインドフルネスを実践する様子

「マインドフルネスを通じて、物事への反応や捉え方、ストレスの感じ方が変わります。心と体にゆとりを持った生活が期待されます」

 そう語るのは「にこフル」代表の中村悟さん。ヤフーやカルビーなどの企業を含め、これまで5千人以上に講師としてマインドフルネスを伝えてきた。

「日本では2016年くらいから広まり始め、ここ数年はメンタルヘルス対策として研修などで導入・検討する企業が増えてきています。特にこの1年間はコロナ禍もあって、世の中全体が『散らかっている』状態。マルチタスク(同時に複数の仕事をこなすこと)やリモートワーク(在宅勤務)が求められ、家と会社のオン・オフの切り替えがうまくできないという人が多い。それが注目される理由ではないでしょうか」

 中村さんの導きで、記者も実際に体験してみた。

「まずは1分間、ぼーっとしてみてください」

 雑念はよくないだろうと思い、無心になろうとする。だが、環境音や仕事の進捗(しんちょく)の不安など、いろんなことが頭をよぎった。

「無心になれなかったという『評価』はする必要がありません。無になることが目的ではなく、いろんなことを考えていたなと、俯瞰(ふかん)的に観察できていればいいんです。自分はこういう状態であるということに気づいていることが、マインドフルネスにおいては重要です」

 次に、ひたすら呼吸に注意を向ける3分間のマインドフルワークを試みる。椅子に座ってする場合は、両足を地面につけ、臀部(でんぶ)は座面にぴったりとつける。下半身をどっしりとさせて座るイメージだ。上半身は背筋を伸ばしてリラックスさせる。

「ほとんどの人が、始めて数秒後に気がそれます。大切なのは注意がそれたことに気づけるかどうか。気づいたら再び呼吸に注意を戻します。その繰り返しです。この反復練習がトレーニングになります」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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