麻疹は麻疹ウイルスがもたらす感染症。感染経路は接触や飛沫、空気感染で、感染力は非常に強い。免疫を持っていない人がウイルスを取り込むとほぼ100%発症する。致死率は0.1%と決して高くないが、体力や免疫力が低下した人だと肺炎などを起こし、重症化することもある。

「まれに感染して10年ぐらいしてから『亜急性硬化性全脳炎』という病気を発症することがあります。ウイルスが脳を侵し、死に至らしめる怖い病です」(久住氏)

 今年11月、香川県で高病原性の鳥インフルエンザが発生した。実は世界中で同じような現象が起こっているという。

「香川の鳥インフルは、現段階ではトリからトリへの感染のようですが、これが変異を起こしてトリからヒトへの感染を起こすようになり、ヒトからヒトへの感染に広がれば、豚由来であったような09年の新型インフルエンザの再来です」(同)

 ただ、インフルならワクチンもあるし、抗インフルエンザ薬もあるから安心──ともいえない。

「変異によっては従来のワクチンや治療薬が効かない可能性も」(同)

 ウイルスはコロナだけではない。それを肝に銘じておくべきだろう。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年12月4日号