俳句をやらない? コロナの時期に気づいた日本語の妙 作家・下重暁子 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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俳句をやらない? コロナの時期に気づいた日本語の妙 作家・下重暁子

連載「ときめきは前ぶれもなく」

下重暁子週刊朝日
作家の下重暁子さん

作家の下重暁子さん

写真はイメージです(Getty Images)

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 ここで大切なのは、「六月を」である。六月のでもなく、六月にでもない。六月と梅雨の晴れ間、病床にある子規のもとに、洗われたようなきれいな風が庭から吹いてくる。それは「を」でしか表現出来ない。短い言葉だからこそ一字が物を言う。

『自分勝手で生きなさい』はマガジンハウスから出た私の近著だが、これも同じこと。「自分勝手に生きなさい」とは違うのだ。

 でとにでは大違い。にでは、自分の感情に流されるままという気がするが、でとなると、そこに自覚が生まれる。コロナの時期、自分自身の心の奥をみつめ、自分で責任のとれる生き方を再確認する。

 一字違えただけで変わってくる日本語の妙。本の題名を考えるのも俳句と同じ。さり気なく、しかし、著者の姿勢を感じさせるものでなくてはならない。

週刊朝日  2020年12月4日号

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『極上の孤独』『年齢は捨てなさい』ほか多数


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下重暁子

下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『明日死んでもいいための44のレッスン』ほか多数

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