「家族そろって映画を観に行こう」と家内がチケットをネット予約した。寄席の楽屋にいると、家内から「とったぞー」と予約確認メールがLINEに添付されてきた。日付を見るとどう見ても、「本日」しかも「今から30分後」だ。「予約間違ってないか?」「あ……じゃ今からみんなで行ってくるわ」だって。寄席から帰ると、放心状態で「よかった……」だって。娘なんか泣き疲れてグッタリしていた。「観たかったなぁ」と言ったら「大丈夫! 付き合うから! 今日は予習! 何度でも観られる!」だって。

 ということで、もう一度予約し直し明日家族で観に行くことになりました。楽しみではあるのだが、微妙にノリ切れていない自分もいてちょっと不安です。『無限列車編』か……。字面のせいで、どうもゲゲゲの鬼太郎の『幽霊電車』が頭をチラつくな。妖怪を信じない愚かな人間が「幽霊電車」に乗せられてえらい目に遭う話。怖いんだよ、あれ。「臨終駅」とか「火葬場駅」とか「骨壺駅」とかさ……。お化けは信じないとね。いかん、鬼太郎じゃない。鬼滅だった!!

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。YouTube 「春風亭一之輔チャンネル」ぜひご覧ください! アーカイブもいろいろあります

週刊朝日  2020年11月27日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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