白石隆浩被告の裁判員裁判が行われている東京地裁立川支部 (c)朝日新聞社
白石隆浩被告の裁判員裁判が行われている東京地裁立川支部 (c)朝日新聞社

 2017年10月に神奈川県座間市内のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人などの罪に問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部で開かれている。

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 白石被告は9月30日の初公判で、9人の殺害について認めた。その一方で、弁護側は法定刑が軽い承諾殺人罪の成立を主張している。

 被害者のうち8人が10~20代の女性。主に自殺を話題にしたツイッターを通じて知り合ったという。裁判の過程では、信じがたい事実も次々と明らかになった。

 白石被告は9人の被害者とは別に、4人と会っていた。その一人であるYさんについて、こう話した。

「口説いているうちに、お金を引っ張れると判断しました。性行為したほうが親密になれる女性と、しないほうが親密になれる女性がいます。Yさんは後者だと思いました」

 白石被告は17年8月に3人を殺害。その後にYさんと一緒に生活を始めた。それにもかかわらず、金欲しさに4人目の被害者を新たに自らの部屋に呼んだという。

 その日は深夜だったため、Yさんには「自殺を手伝う」などと告げ、最寄りの駅前のカラオケ店で待機してもらった。

 しかし、殺害後の遺体の解体に時間がかかり、翌朝にYさんが帰宅。白石被告は当時の様子をこう証言した。

「玄関で(Yさんを)出迎えました。胴体の解体に入ろうとしていたところだったため、『トイレは見ないで』と言い、部屋のロフトに上げました」

 その後、Yさんは「母親が心配している」と言って白石被告の家を出たが、Yさんが警察に通報することはなかった。

 また、7人目の被害者となる女子高校生を殺害したときには、遺体の一部をクーラーボックスに保管したり、燃えるゴミとして捨てたりしたという。

 白石被告はこれまで被害者や遺族に対し、謝罪の言葉は述べていない。求刑は被害者9人全員の審理後に行われ、判決は12月15日に言い渡される。(渋井哲也)

週刊朝日  2020年11月20日号