※写真はイメージです (GettyImages)
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高齢者自転車運転の鉄則10カ条 (週刊朝日2020年10月30日号より)
高齢者自転車運転の鉄則10カ条 (週刊朝日2020年10月30日号より)

 高齢者に多い自転車事故。65歳以上の高齢者は299人もいて、全体の69%を占める。また事故以外にも気を付けるべきことがあるという。

【高齢者自転車運転の鉄則10カ条はこちら】

 漕ぎ出しと加速については、電動アシスト自転車こそ注意が必要だ。近年、自動車の運転免許返納後に電動アシスト自転車を購入する人が増えた。またぎやすさを追求するなど、高齢者に優しいタイプも出ていて人気が高まっている。

 しかし電動アシストならではの注意点もある。ブリヂストンサイクルの大槻浩太郎氏が2点指摘する。

「信号待ちのときは、足はペダルから離しましょう。意図せずに力が加わって進んでしまう可能性もあります。またケンケン乗りも危険なので避けてください」

 ケンケン乗りとは、発進時に足で地面を蹴ることで加速する乗り方。これに電動のパワーが加わると、思いもよらぬスピードが出てしまう。

 初めて電動アシスト自転車に乗る人は、講習を受けたり、安全な場所で練習をしたりして、アシストの度合いを体で知ってから道路に出たい。

 そして、6月30日に施行された改正道路交通法により、自転車にもあおり運転(妨害運転罪)が適用されるようになったことはご存じだろうか。下記の7項目が、同罪適用とされる。

【あおり運転の対象】
●対向車線の走行 ●急ブレーキ ●車間距離不保持 ●急な進路変更 ●危険な追い越し ●執拗なベルの使用 ●幅寄せや蛇行運転

 自動車のあおり運転を犯したドライバーの多くが、周囲の車のちょっとした動きに怒りを覚えて行動したと答える。自転車運転にしても、怒りが「暴走老人」の引き金になりかねない。

「自転車は自動車よりも逃げやすい。車に危ない目にあわされたとき、車を蹴って逃げてもつかまらないだろうという安心感もあるでしょう」

 と懸念する、日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事が続ける。

「高齢者は感情のコントロールが苦手。自分の行為を否定されたイコール自分の人格を否定されたと感じがちです。でもクラクションを鳴らされたとしても、それは人格否定ではないと理解すべきです。根にあるのは、孤独感でしょう。日々の生活に居場所を作ることが大事です。人とのふれあいを持てば、『こんなことをやったらみっともない』と感じ、タガを締めるようになります」

 健全な心で法令を守りながら乗りたいものだ。(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2020年10月30日号より抜粋