大竹しのぶ コロナ時代に名作「女の一生」で主演する意味 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

大竹しのぶ コロナ時代に名作「女の一生」で主演する意味

このエントリーをはてなブックマークに追加
菊地陽子週刊朝日
撮影中もずっと微笑みを絶やさないほがらかな大竹さん。11月の舞台が楽しみだと笑う (撮影/加藤夏子)

撮影中もずっと微笑みを絶やさないほがらかな大竹さん。11月の舞台が楽しみだと笑う (撮影/加藤夏子)

大竹しのぶ・女優 (撮影/加藤夏子)

大竹しのぶ・女優 (撮影/加藤夏子)

「誰が選んでくれたのでもない。自分で選んで歩きだした道ですもの」──。舞台「女の一生」の主人公・布引けいの名台詞だ。杉村春子さんの当たり役とされた役を、この秋、大竹しのぶさんが演じる。

前編/大竹しのぶ「あの喪失感は一生忘れられない」舞台中止、そして自粛】より続く

【大竹しのぶさんの写真をもっと見る】

 8月の終わり。舞台「女の一生」の上演が、正式に決定となった。終戦直前の昭和20年4月に森本薫が文学座に書き下ろし、杉村春子さんが生涯947回にわたって主人公の布引けいを演じ続けた不朽の名作である。

「お話をいただいてから、初めて戯曲を読んだのですが、言葉がとても美しい。さりげない日常の中に、夫婦、親子、男女の問題など人生のエッセンスのすべてが詰まっていて、いい文章に出会えた幸福を噛み締めました」

 杉村さんが亡くなる数カ月前、テレビドラマの撮影現場で杉村さんと一緒になった。その時病院から撮影現場に通っていたことを、大竹さんは後になって知ったという。

「今思えば、立っていることもままならない状態だったと思います。でも、いざセリフを言うと、パーッと早口で気風がよかった。私は、昔の話を伺いたくて、待ち時間になればそばに寄っていって、おしゃべりをさせてもらっていました。その時、今思えば『女の一生』の初演の時のお話もしていらしたんです。『舞台の最中に空襲警報が鳴って、舞台を止めなければならないこともあったし、セリフをチェックするために、後ろにお巡りさんが立っていることもあったのよ。芝居を途中で止めなくちゃならなかったのは本当につらかった。あなたはいいわね。自由な時代に生まれて』と」

 収録途中に杉村さんが倒れ、結局、放送されたドラマで杉村さんの役は代役の女優が演じた。杉村さんの訃報を聞いた時、病院のベッドサイドに台本があったと聞いて、大竹さんは、「自分なら、最後までお芝居をしたいって思うだろうか?」と自問した。

「プロデューサーさんからも、『杉村さんがどうしてもやりたいとおっしゃったので』と聞きました。死ぬかもしれないのに、それでも芝居をするなんて。私には無理だと思いました。でも、蜷川(幸雄)さんもベッドに3冊ぐらい、台本があったんですよ。だから杉村さんも蜷川さんも、芝居が元気の素だったのかもしれないですね。カッコいいなと思います」


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい