ごみ屋敷になるきっかけは日常生活のなかにひそんでいる(写真はイメージ)=(C)朝日新聞社
ごみ屋敷になるきっかけは日常生活のなかにひそんでいる(写真はイメージ)=(C)朝日新聞社

「ちょっとごみがあって。片づけてほしいのですが」

【チェックリスト】1つでも当てはまれば「ためこみ症」の可能性が

 特殊清掃や家の片づけを行う「スイーパーズ」(茨城県かすみがうら市)に、女性からこんな連絡がくるのは、珍しくない。

 ある日、見積もりのため従業員が向かったのは、オートロックにおしゃれなデザインの集合玄関など、女性好みの高級賃貸マンションだった。撤去するごみの見積もりを出すためには、現物を確認しなければならない。依頼女性の自宅玄関を開けた従業員は、瞬時に進むべき動線を探した。

 部屋の「ごみ」か「モノ」か判別がつかないが、天井まで積みあがっている。山を登り、部屋の奥に進んだ。

 女性の「ちょっとごみがある」は、額面どおり受け取れない。そう苦笑するのは、スイーパーズ代表の小山奈津美さんだ。しかも、30代、40代女性の自宅がごみ屋敷というケースが増えているという。

「女性のごみ屋敷が増えているよねと、同業者の間で話題になります。うちの依頼についていえば、ごみ屋敷の9割は女性の住まい。その5割以上が30代、40代の働き盛りの女性です」

 清掃依頼は、住人を強制退去させた不動産会社や大家から来ることもあるが、本人からの場合もある。

「世間一般のごみ屋敷の住人のイメージというと、髪がくしゃくしゃで、シワだらけの臭う服を着ている人ですよね。でも、大抵は、小ぎれいな服装でいい香りの香水をつけて、といった風で『この方がなぜ?』と驚くほど普通の方です。とても、ごみ屋敷の持ち主は見えません。しかも医師や看護師、学校の先生や塾の講師といった社会的地位があり、収入もあるバリバリと働いている独身の女性が目立ちますね」(小山さん)

 いずれも、多忙な職業だ。経済力があるだけに、驚くような事例もある。

 ごみ屋敷の賃料を払い続けたまま新しい部屋に引っ越したが、新居もごみ屋敷に。結局、2カ所のごみ屋敷の掃除を依頼することになったという。

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「女性のごみ屋敷は掃除がやっかい」