亡くなった竹内結子さん(c)朝日新聞社
亡くなった竹内結子さん(c)朝日新聞社
表紙に登場した「週刊朝日」2001年12月28日号
表紙に登場した「週刊朝日」2001年12月28日号

<私がもっと大人だったら、何でもうまくこなせたかも知れない。なじめない自分に対する嫌悪と、理由のよく分からない疎外感をいつも抱いていた>

【写真】20年近く前の竹内結子さん。入手困難な週刊朝日の表紙はこちら

 この文章は18歳の竹内結子さんが1999年に発売された桜井亜美さんの小説『サーフ・スプラッシュ』(幻冬舎文庫)の解説文として寄せたもの。小説の主人公の女子高生も葛藤を抱えた末、最後は自殺してしまう。

 寄稿は前年、竹内さんが桜井さんの小説を原作とした映画「イノセントワールド」に主演したことが縁で実現した。桜井さんが当時を振り返る。

「原作は主人公の女子高生が複雑な家庭事情から家出をする仄暗い物語でしたが、結子ちゃんは主人公にすごくシンクロしてくれた。解説では正直に自分のつらい過去を書いてくれて、作家やエッセイスト以上の表現力と感じました。あの時、私が文章を書くことを勧めていれば、結子ちゃんの心が少し軽くなったかもしれない。そうしなかったことを後悔しています」

 多くの人に衝撃を与えた竹内さんの訃報。再婚、出産を経て幸せな家庭を築く矢先の悲劇はなぜ起きたのか。内情に詳しい関係者はこう証言する。

「女優は40歳前後になると主役を張れなくなる。竹内さんも昨年の主演ドラマ視聴率が低迷した後は地上波のドラマに出ていない。普通は事務所が説得し、番組後のキャスト紹介で最後近くに名前が出る『中止め』や『止め』の役に移行しますが、彼女の場合、うまくいっていたのかどうか」

 この関係者はこんな情報を耳にしていたという。

「竹内さんの契約が、給料制から出来高制に変わったと聞いた。単価の高いCM出演なら1本で1千万~数千万円稼げるが、それがないと実入りが減る。年内はドラマや映画の仕事が決まっておらず焦りもあったのか、竹内さんの様子がおかしかったという話が出ている」

 コロナ禍で業界全体が苦境なのは間違いない。9月14日に急逝した芦名星さんも、4月から給料が出来高制に変えられていたと報じられた。竹内さんの東京・渋谷の自宅マンションは、周囲の不動産屋によると家賃100万円以上の高額物件。今後、ドラマやCMの出演が減れば生活に影響するという不安もあったのか。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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