最初の反応は警告反応期。次は抵抗期。この段階では抵抗力が強まり安定した状態になります。そして疲憊(ひはい)期。ストレスが強く長く続くと、生体の能力が疲れ切って適応力を失ってしまうのです。抵抗期の段階でストレスの解消を図ればいいのですが、見えないストレスの場合は知らないうちにストレスを蓄積させて、疲憊期にいたってしまう恐れがあります。

 最近、不機嫌になりがちで、イライラしてしまうというようなことがあったら、見えないストレスを疑ってください。そのときには、何か自分の心をときめかせることを見つけて、ストレスを解消する必要があります。いつもより贅沢(ぜいたく)な食事をする、買い物を思いっきりしてしまう、というようなことでもいいのです。

 私は最近の事件や災害、紛争の多発を見るにつけ、地球全体のエネルギー(自然治癒力)が低下しているのではと危惧しています。

 私たちはそういう地球でストレスにさらされて生きているのです。それに負けないためには、それぞれの人たちが自らの力で自然治癒力を高めていく必要があります。それがひいては、地球全体のエネルギーを高めていくことにもつながると思うのです。

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

週刊朝日  2020年8月28日号

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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