※週刊朝日 2020年8月14日-21日合併号より
※週刊朝日 2020年8月14日-21日合併号より

 公的年金に上乗せして、さらに年金を増やす私的年金、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)。先の国会で成立した「年金改正法」で、加入できる年齢の上限が上がった。この機会に、もう一度、その仕組みやメリットをおさらいしよう。

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Q:私的年金とは?

A:1階の国民年金、2階の厚生年金、共済年金の「公的年金」と、公的年金の上乗せ給付を保障する3階建ての「私的年金」がある。国民年金基金、確定拠出年金(DC)、確定給付企業年金(DB)、保険会社が販売する個人年金保険があてはまる。

「ゆとりある生活を送るために必要な資金は夫婦2人で約35万円といわれているのに対し、公的年金の収入は厚生労働省の標準モデルで月22万1千円。公的年金だけで、老後が不安だという方には“私的年金”での備えを提案しています」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦さん)

Q:個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)のメリットは何ですか?

A:決めた掛け金を毎月拠出(積み立て)して運用し、60歳以降に年金や一時金として受け取る仕組み。毎月拠出する掛け金は全額所得控除になり、運用によって得た利益は非課税、受取時も公的年金等控除などが適用され、税制面で優遇される。「例えば、イデコに加入して月1万円の掛け金を拠出すると年12万円。所得税率が20%の人は、住民税10%(復興特別税は除く)と合わせて税金が3万6千円安くなります」(社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん)

Q:何歳まで加入できる?

A:現在、イデコには加入の年齢制限があり、60歳未満の人しか加入することができないが、年金法改正で22年5月から65歳未満の人まで対象が拡大される。これに伴い70歳までの受取時期も、75歳まで延長された。「ただし、国民年金の加入者ですでに40年(480月)の満期に達している人は対象外になります。60歳以降、定年を延長して厚生年金に加入できる会社に勤めれば、イデコにも加入できます」(井戸さん)

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