三浦春馬さん(撮影・朝日新聞出版写真部・東川哲也)
三浦春馬さん(撮影・朝日新聞出版写真部・東川哲也)

「30歳を目前にして、30以降、どう戦っていけるかのほうが大切だと思うようになりました」

【写真】1年前に本誌のインタビューに答えていた三浦さんの様子

 昨年春、本誌のインタビューにそう語っていた俳優の三浦春馬さんは、奇しくも30歳で旅立ってしまった。7月18日、ドラマの撮影に現れなかったため東京都港区の自宅を訪れた関係者が異変に気付き、搬送先の病院で死亡が確認された。遺書らしきものが見つかっており、自殺とみられるという。

 三浦さんは7月23日から公開予定の映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」に出演しているほか、9月開始のドラマ「おカネの切れ目が恋の始まり」にも出演予定だった。芸能ジャーナリストの佐々木博之氏がこう語る。

「仕事に行き詰っていた様子もなく、順調にキャリアを重ねていた。自殺する理由は想像もできないです。三浦翔平さんと『W三浦』で共演予定だった『おカネの切れ目が恋の始まり』は撮影が始まっていたはずで、現場はかなり混乱するのではないでしょうか」

 茨城県出身の三浦さんは4歳から劇団に所属し、1997年のNHK連続テレビ小説「あぐり」で子役としてデビュー。ドラマ「14才の母」(2006年)、映画「恋空」(07年)などの出演で注目を集めた。2016年の主演舞台「キンキー・ブーツ」ではドラァグクイーンを演じ、役になりきるためにプライベートでも舞台と同じ10センチのピンヒールブーツを履いて過ごすなど、ストイックな仕事ぶりを明かしていた。芸能評論家の三杉武氏はこう語る。

「憑依型で、役に入り込む印象。ルックスの良さに甘んじずに演技力を磨いていた。19年のドラマ『TWO WEEKS』(フジテレビ系)では、娘を思う父親役で話題を集めていました。現場での悪い評判などは聞いたことがなく、先輩や同年代の俳優からも愛されていたようですし、実力的にも将来を嘱望されていただけに……」

 冒頭の発言もあった週刊朝日2019年3月15日号のインタビューで、三浦さんは独特の人生観を語っていた。演技と日常の切り替えについては、こう言う。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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「ちゃんと生きているだけでは要求に応えられない場合もある」