この黒潮にうまく乗れるか、さらには黒潮の流れがうまく曲がって日本に近づけるか、にかかっているとの説もある。真偽は不明だが、海にできた渦にのみ込まれて死んでしまうこともあるとの説も。

 シラスウナギは池入れして約1年かけて養殖され、ウナギとして出荷される。

「今年、池入れしたものは秋以降の出荷になるのではないでしょうか。いま、一部は出てきているものもあります」と全日本持続的養鰻機構の担当者。このため「シラスウナギの漁獲量は、端的にウナギの価格につながっていない」(水産庁担当者)のが実態だ。

 はたして、今年のかば焼きの値段はどうなるのか?

「かば焼きを提供する料理店では一度値上げすると、なかなか値下げにならない。一方、スーパーの価格は、シラスウナギの漁獲量・価格を比較的、反映しやすい」(同)。かば焼きを冷凍すると3年以上も保存できるため、業者が来年の漁獲量を想定しながら値段を決めている。それだけに、今年の豊漁が消費者に安い値段として還元されるには、来年もメディアなどに注目され、騒がれ続ける必要があるかもしれない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2020年7月24日号