かば焼きの味も例年とちがう? (c)朝日新聞社
かば焼きの味も例年とちがう? (c)朝日新聞社

 土用の丑(うし)の日がやって来る。絶滅の危機にあるウナギだが、今年は稚魚のシラスウナギが豊漁だ。かば焼きが安く味わえると期待はふくらむが、話はそれほど単純でない。

 シラスウナギの漁期は、およそ12月から翌年4月いっぱいまでとされる。水産庁によると、2020年の漁獲量は17.1トンにのぼり、14年の17.4トン以来の豊漁を記録した。近年は18年が8.9トン、19年が3.7トンだった。

 今年のシラスウナギの価格は1キロ当たりの平均で144万円と、最高値だった2年前の299万円から半値以下になった。水産庁の担当者は次のように話す。

「毎年安定して取れることはなく、漁獲量の変動が激しい。資源全体として豊かになったというわけではありません。今年は何年かに一度の多く取れた年で、増減の範囲内です」

 とはいえ、ウナギの生態はよくわかっていない。水産庁のホームページによると、ニホンウナギは5~15年の間、河川や河口域で過ごした後、海に下り、日本から約2千キロ離れた赤道近くのマリアナ諸島付近で産卵する。幼生したものが黒潮に乗り日本沿岸に近づく。

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