もちろん、誰もがナツコさんのようにスムーズに出会える訳ではない。

 神奈川県のマイさん(仮名・56)は、「壁」にぶつかった一人だ。気になったお相手のプロフィルは風景写真のみで、顔写真はなし。体形は自称「少しぽっちゃり」。似ている芸能人は上川隆也や渡部篤郎とあった。早速マッチングして会ってみることに。だが、待ち合わせ場所に現れたのは期待したイケメンではなく、おなか回りが思った以上に大きいおじさんだった。

「この年齢でそんな自己紹介を書くなんて、普段から話を盛って、見えを張るような現実を見ない人かもと思いました」(マイさん)

 今は静岡県の男性(59)と遠距離恋愛をしている。

 シニアのオンライン婚活は、コロナ禍でさらに活発化しそうだ。『ルポ シニア婚活』(幻冬舎新書)の著書があるライターの篠藤ゆり氏はこう語る。

「これまで結婚相談所などを利用していたシニア層も感染防止のために外出しづらくなり、代替手段として婚活アプリを利用するようになると考えられます」

 すでにオンライン婚活に乗り出した結婚相談所もある。老舗のシニア専門結婚相談所「茜会」(東京都)は5月、お見合いパーティーをオンライン会議システム「Zoom」で開いた。男女5人ずつが一対一で順に話す「回転ずし」方式だ。茜会のマネジャー、後藤礼美氏(46)はこう語る。

「コロナの第2波に備えて、オンラインは必要なサービスだと考えています。シニアは夏の外出も熱中症のリスクがありますからね」

 妻と離別した茨城県のマサキさん(仮名・64)は、茜会のオンラインパーティーに自宅のパソコンから参加した。「対面のパーティーより、理想的」だと話す。

 都内のパーティーに参加するのは抽選で当たる月に1回ほど。電車で1時間以上かかるため、一日仕事となる。だが、その日はメールで指定されたサイトのURLをクリックするだけで、一瞬で入室した。

■ 婚活歴40年男性「あきらめない」

「人と話せば10秒くらいで、波長が合いそうかわかる。Zoomでもその印象は変わりませんでした。オンラインで効率よく出会いたい」(マサキさん)

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