「いきなり!ステーキ」の店舗(ペッパーフードサービス提供)
「いきなり!ステーキ」の店舗(ペッパーフードサービス提供)
東京1号店となる「やっぱりステーキ」の吉祥寺店=東京都武蔵野市
東京1号店となる「やっぱりステーキ」の吉祥寺店=東京都武蔵野市
ペッパーランチの店舗(C)朝日新聞社
ペッパーランチの店舗(C)朝日新聞社

 ステーキチェーン店の熱き戦いが起きている。独特の事業モデルで市場を切り開いた「いきなり!ステーキ」などを運営するペッパーフードサービスが失速するなか、沖縄県を発祥とする「やっぱりステーキ」が東京進出を果たした。すかいらーくホールディングスや松屋フーズホールディングスなども低価格のステーキメニューを打ち出し、殴り込みをかける。

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 ペッパーフードサービスは7月3日、ステーキ料理をリーズナブルな価格で提供してきた「ペッパーランチ」を投資ファンドに売却すると発表した。ペーパーフードの売上高全体に占める割合は小さいものの、収益力は「いきなり!ステーキ」よりも高いとされる。「いきなり!ステーキ」「ペッパーランチ」の国内114店を閉じるとともに200人規模の早期希望退職を募ることも、同時に発表した。売却額85億円は、「いきなり!ステーキ」のリストラや経営立て直しなどに充てるという。

 同社が「いきなり!ステーキ」を始めたのは2013年。グラム単位で肉を切り分けたり、立ち食いを採用したりといった画期的なスタイルで注目された。約6年で全国500店と急成長したものの、メニューの値上げなどが裏目に出て業績が低迷。2019年12月期まで2年連続で純損失を計上し、米国からの撤退も表明した。

 “先輩”の苦戦を横目に、勢いを増すのがディーズプランニング(那覇市)が運営する「やっぱりステーキ」だ。コロナ禍にありながら、6月17日にオープンした東京都内1号店となる吉祥寺店(武蔵野市)は開店当初、連日2時間待ちの行列ができるなど快走を続ける。

 後発の「やっぱりステーキ」は、「いきなり!ステーキ」に遅れること2年後の15年に開店した。吉祥寺店を加えて現在、全国51店舗。本拠地・沖縄県の24店をはじめ福岡県や愛知県、仙台市などで地盤を固めながら版図を拡大する。そしていよいよ、全国的な知名度を高めるために首都へ乗り込んだ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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