「党としては消費税5%で野党共闘するつもりは今のところないわけです。私は消費税減税派で、そこらへんが残念。消費税減税すれば現金給付と同じ効果があるんですよ。今より5%オフで買い物ができるんですから。党は緊縮財政的な考え方ですが、私は反緊縮です。もはや、新しい財政論が必要だと思います」

 山本氏が主張する新型コロナの災害指定や、都債を発行して15兆円を作り「都民のコロナ損失を底上げする」という考え方に共感を覚えるという。

「本来は国がやるべきなんですけど、国がやらないから山本さんが東京都でやろうとしている。画期的なアイデアだと思う。世代交代して、私たちが夢や希望を持てるように、コロナ禍を解決するべきです」

 須藤氏は昨年7月の参院比例区で当選したため、党幹部からは議席を返上すべきという批判も受けた。これについては、次のように反論する。

「党の看板で当選した部分もありますが、私の名前を書いて投票してくれた有権者もいますので、全国民の代表として、国民のために働くという使命があります。比例で当選したんだから党を抜けたら議員辞職しなければならないというのは、私の中では正直、違うと思っています」

 そんな須藤氏は東京都江東区の下町出身。高校、短大時代はレスリング部で活躍し、レスリングの全日本ジュニアオリンピックで優勝したこともある。大学を卒業してからは総合格闘技の道を歩んだ。K―1の試合にも出場し、トリッキーな動きから攻撃を繰り出す変幻自在なスタイルが観客からの人気を呼んだ。

 党が態度を保留する中、須藤氏は山本氏の応援に駆け回る。

「私も格闘技をやっていたので、2位は狙ってません。1位でなきゃ、都知事になれない。山本さんがどうしたら都知事になれるかということに集中すべきだと考えているので、自分の進退とかはどうでもいいというか、あまり考えていません」

 須藤氏が山本氏と初めて言葉を交わしたのは半年前。きっかけは、立憲民主党で青年局長を務める中谷一馬衆院議員(36)と山本氏の会食だったという。中谷議員は昨年8月、山本氏とともに消費税を廃止したマレーシアを視察して以来、親交がある。2人とも学歴にこだわらず、信じる生き方を突き進んできた。そのことが、ウマが合う理由のようだ。

「山本さんとはLINEなどで連絡を取っていますし、一緒に食事をすることもあります。政治の話がメインですが、サーフィンの話や俳優時代の話を伺うこともあります。山本さんは、体を冷やさないように、いつも水筒を持っていて、温かい飲み物を好んで飲みます。健康に気を配っていて冷たいものはあまり口にしませんね。これからも長く友人として付き合いたいと思っています」(中谷氏)

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須藤氏と山本氏が初対面した食事会の思い出