画家、横尾忠則氏が新型コロナウイルスをテーマにした連作「WITH CORONA」を発信する理由を明かした。
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WHOが武漢でコロナ感染が発生したと発表した翌日の2月1日に、奇しくも、神戸の横尾忠則現代美術館で「兵庫県立横尾救急病院展」が開催された。
その時来館者に「ここは美術館という名の病院です。オープニングに来館された皆様全員にマスクを装着していただきます」と150人余りの人たちにマスクを配って、集団パフォーマンスを演出した。それが、まさか世界中にマスクパフォーマンスが拡大されるとは僕も想像だにしていなかった。マスクに隠された口を絵で表面に再現して、毎日、新しいマスクアートを「WITH CORONA」と題して、(小池さんの「WITH CORONA宣言」に先駆けること1ケ月半前)ネットで発信し続けている。
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コロナ禍に対して政治的対策もとられているが、僕はアートに内在する力によって、言葉では語りきれない、また政治にはできない創造力の顕現によってコロナのネガティブをアートのポジティブパワーに変換して、未来の千年王国的ビジョンの現在化を試すべく創造的実験をもうしばらく続けていきたいと思っている。横尾忠則
※週刊朝日 2020年7月3日号