新型コロナウイルスの感染拡大で長期に渡り営業休止を余儀なくされたパチンコ店がピンチに陥っている。6月から全国のパチンコ店で営業は再開されたが、倒産、閉店に追い込まれる店が急増しているのだ。
民間信用調査会社の調べでは、今年1月から5月まで倒産したパチンコ業者は12件、前年比の2倍という。また、パチンコ業界団体によれば全国で100近いパチンコ業者が閉店、倒産に追い込まれているという。大阪のあるパチンコ業者が渋い顔でこう証言する。
「緊急事態宣言、外出自粛時、短期間はこっそり営業していた。だが、店名公表など行政からのペナルティのような発表で、店を閉めた。休業中、三蜜対策を講じて、満を持して6月の営業再開となったが、自粛ムードは依然として続いている」
前年比で60%ほど売り上げが落ちているという。関東のパチンコ業者も同様のようで、首都圏で数店舗、営業しているパチンコ店のオーナーはこう話す。
「うちの店舗で昨年と比べて、50%以上減収となっている。地方なら不動産が安価なので、取得して出店している業者が多い。東京や首都圏の場合、そうはいかず、店舗を借りて営業しているケースが大半。より負担が重い」
この業者の経営する大規模店だと家賃、従業員やアルバイトの人件費、リース代などを含めると、月間で1000万円の経費がかかるという。
「東京都は休業協力金がマックスで100万円でしょう。月の経費の10分の1。話になりませんよ」とぼやく。
この2つの業者とも口をそろえるのが国民一人につき10万円支給される「特別定額給付金」の遅延だ。全国の自治体で支給が開始されているが、総務省の調べでは、6月19日現在全国平均で57・9%の給付率という。だが、東京23区では平均23%、大阪市では3・1%と大都市で遅れが目立つ。
「10万円が早く入る、それがパチンコに一定程度、流れてくると大半のパチンコ業者は信じていた。忙しくなると、できる限り従業員やアルバイトもやめさせず、耐えてきた。営業自粛中も『10万円もらったら、打ちにいくから』と言っていたお客さんもけっこういました。いかんせん、10万円給付が進まないとどうにもなりません」(前出・大阪のパチンコ業者)