逮捕された河井案里容疑者(C)朝日新聞社
逮捕された河井案里容疑者(C)朝日新聞社
逮捕された前法相の河井克行容疑者(C)朝日新聞社
逮捕された前法相の河井克行容疑者(C)朝日新聞社
捜査で威力を発揮したGoogleマップ
捜査で威力を発揮したGoogleマップ

 前法相が妻の選挙で勝つために現ナマを配り歩いたという前代未聞の容疑での逮捕劇だった。

【写真】検察が捜査で利用したスマホアプリとは?

 昨年7月の参院選で広島県議、市議、地元の首長、後援者らにカネをばらまき、公職選挙法違反(買収)容疑で東京地検に逮捕された前法相で衆院議員の河井克行容疑者と参院議員の河井案里容疑者。

「河井容疑者夫妻から押収したリストから、現金のばらまき先を丹念の捜査。その裏付けがとれたところで、大半のカネのばらまきについて、被疑事実とした。克行容疑者は案里容疑者が当選後にお礼、成功報酬だと、カネをばらまいた、事後買収の疑いがあることもわかった」(捜査関係者)

 両容疑者は合計94人、計2700万円を121回にわけてばらまいたという。

 克行容疑者が法相に就任したのは去年9月11日。その1か月前まで論功行賞とばかりに、カネをばらまき、事後買収をしていたというから驚きだ。

 今回、検察がカネのばらまきの裏取りに大きな役割を果たしたのがスマートフォンのアプリGoogleマップだった。検察側は、アプリの履歴情報に着目した。

 今年3月に河井容疑者夫妻から事情聴取した際に、2人のスマートフォンをも任意提出させた。そこからアプリの履歴情報を抽出。2人の行動が明らかになった。事情聴取された自民党の広島市議はこう証言する。

「3月下旬に広島地検だと連絡があって、事情聴取された。スマートフォンの提出も求められて、検察に渡した。聴取された時、『去年の5月〇日の何時何分に広島市内のどこどこにいて克行容疑者にあってないか』と検事に聞かれた。手帳を見たら、確かに克行容疑者と一緒になったことがある日だった。『よくわかりますね』と言うと、検事はアプリの履歴から、2人の位置情報が一致したと説明した。アプリで克行容疑者から『もらっても困らないでしょう』などと言われて、カネを押し付けられた日が特定された。履歴を辿ると一緒にいたのは5分間もなかった。そこまで検察はよう調べとった。びっくりした」

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
次のページ
ガラケーに替える国会議員も