高血圧にも気をつけたほうがいいが、意外なことに、高齢者で血圧が高い人は、血圧の下げすぎにも注意。血圧が低くなりすぎると腎臓に血液が回りにくくなり、老化を早めるからだ。相川さんの指摘だと、75歳以上では収縮期血圧(上の血圧)は150mmHg以下にはしないようにしたい。

 腎臓と血管との関係は深く、老化対策には血管ケアが重要であることがわかったが、腎臓はほかにも大事な働きを担っている。実は腎臓は、骨の成長にも大きくかかわっているのだ。

「腎臓はカルシウムとともに骨を丈夫にするビタミンDを活性化させる働きを持っています。腎臓の機能が弱ると、ビタミンDを取っても丈夫な骨になりにくいのです」(同)

 ビタミンDが不足するとカルシウムが骨につきにくくなるため骨軟化症という病気になりやすく、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクも高まる。

 このように、腎臓をしっかりと守ることは、健康寿命を保つことにつながる。

「腎臓病になるとたんぱく質や塩分を制限しなければなりません。高齢者にとって食は楽しみの一つ。それを制限しすぎないよう栄養をしっかり取り、腎臓の老化を進めない工夫が大切です」(同)

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年6月26日号