安倍晋三首相(左)、吉村洋文大阪府知事
安倍晋三首相(左)、吉村洋文大阪府知事
(週刊朝日2020年6月19日号より)
(週刊朝日2020年6月19日号より)
(週刊朝日2020年6月19日号より)
(週刊朝日2020年6月19日号より)

 今や珍しくなくなったテレビ番組の「リモート出演」。コロナ禍でとられた苦肉の策だが、視聴者、専門家はどう見ているのか。頻繁に画面に登場する政治家に関してもアンケートを募った。

【アンケート結果】信用できない、好感を持てないと思う人 は?



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 報道に限らず、バラエティー番組も「リモート出演」が増え、ひな壇芸人の姿が著しく減るなど、変化を余儀なくされている。アンケートでも<ニュースは見られるが、トーク番組・お笑い番組は不愉快で見ていられない>と辛口の意見が。元毎日放送プロデューサーで同志社女子大メディア創造学科教授の影山貴彦氏が語る。

「これまでは芸人を多く集めてしゃべらせ、編集でほぼカットする乱暴な作りの番組もありましたが、リモートではそうした手法が成り立たない。ごまかしが利かず、本物と偽物がはっきりしてきました。明石家さんまさんや所ジョージさんは、リモートでもやはりうまい。タイムラグや映像が落ちようと、見事な間でやり取りしている。『アメトーーク!』に出ているひな壇芸人も生き残っていくでしょうが、力なき者は淘汰される時代かもしれません」

 政治家のスピーチ指導をするなど、自己表現に詳しい、ハリウッド大学院大学の佐藤綾子教授(パフォーマンス学)は、リモートにおける司会者の重要性を指摘する。

「有能な司会者は、発言者の実績や発表力で持ち時間に長短をつけて割り振ります。ところが、リモートでは一人ずつ均等に回そうとして、面白くもない人がクローズアップされてしまう。視聴者は見たくもない人を見せられている状態です」

 スタジオなら成立した絶妙な“間合い”が崩れ、激論に発展するような緊迫した雰囲気や盛り上がりも生じない。佐藤氏は、「緊張感や迫力は、見る側の集中力と比例する」と話す。視聴者を飽きさせない工夫が、制作側に期待される。

 本誌は5月中旬から6月上旬にかけて実施したウェブアンケート(111人が回答)を実施。「いつ平時に戻ってもいいか」との質問には「ワクチンの開発や供給の見通しが立ったら」などの答えが多数だったが、「コロナ収束後も今のままでいい」という声も一部(12%)あった。<リモート出演にした事で、局側、出演者側が得た学習を、コロナ落ち着き後に生かしてほしい。(中略)そういった変化を視聴者は好ましく感じるのでは?>という意見もあった。

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