「未来が見えないから当然、関係が行き詰まって、別れてお互い別の人と付き合って。でもまた戻ってくる。結局『結婚するならこの人だ』という絶対の確信がお互いにあったんでしょうね」

 60代のいまも変わらず若々しさを保っているのも「健康オタクの女房のおかげです」と笑う。

 コロナ後の世界で「笑い」は変わっていくだろうか?

「三宅裕司が作ってきた笑い自体は変わらないと思うんです。ただ、いまこの状況下で一人ひとりが部屋で、自分の好みの笑いを映像で見ることが増えている。そういう人が増えたらどうなるだろうか、とは思います。僕がずっと目指してきたのは、幼稚園児からおじいちゃんおばあちゃんまでが一緒に笑える大衆的な笑いです。昔はお茶の間に一台しかテレビがなかったから、それが受け入れられた。でもいまは『笑いを選ぶ』時代です。そのなかで僕らの『東京喜劇』が若い人たちにどう受け入れられていくのか。今回のYouTubeチャンネルで、若い人たちに伝わるような笑いができるといいんですけどね」

 新たな挑戦をしつつ、劇場の再開へ想いは募る。

「昔から『世の中が不景気になると笑いが求められる』と言われます。ストレスの発散にもなりますから。こんなときだからこそ、劇場で大勢が集まって笑いを共有する、あの爆発的なおもしろさ、素晴らしさを肌で感じてほしい。みなさんもそれを待ち望んでいると、希望を持っているんです」

(中村千晶)

週刊朝日  2020年6月12日号より抜粋