対して、家族がマスクを着けるのは、自身が感染している可能性を踏まえ、周りの人に“感染させないため”。これに加え、自らの“感染を防ぐため”という意味も大きい。そのためサージカルマスクが不可欠だ。

「サージカルマスクは感染を防ぐ効果は薄いとされていますが、それでも布のマスクよりは効果が期待できる。そう考えると、着けるとしたら家族のほうです」(永井医師)

 手洗いは、家族が当事者に接触したとき、当事者が使ったものに触ったときのほか、トイレの後、調理、食事の前は必ず。さらに、時間を決めて定期的に手を洗うことも大切だという。

「当事者がどこを触っているか完全に把握できないからこそ必要な対策です。こまめな手洗いで、ウイルスが付着しているところに知らない間に触ってしまう“うっかり付着”による感染リスクを減らすことができます」(同)

 手洗いは普通のせっけんと水で問題なく、アルコールを使えば手洗いは不要。当然、当事者と家族の使うタオルは分ける。

 こまめな換気は飛沫感染のリスクを、部屋を分けたり、ゴミをポリ袋に入れて捨てたりといったことは接触感染のリスクを下げることにつながる。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2020年6月5日号より抜粋