最近、親指や手首に痛みを覚えていないだろうか。 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の範囲が縮小されるなか、東京などは依然として「ステイホーム」が叫ばれている。
職場の会議はオンライン、食料や日用品の買い物はネットスーパー。子どもの学習や習い事も、ZOOM(ズーム)やYouTube(ユーチューブ)などを使って受けるスタイルが増えている。
巣ごもり生活により、スマートフォンやタブレット端末の画面をクリックし、パソコンのキーボードを打ち続ける人も少なくない。だが、そのために病院に駆け込む羽目になるかもしれないのだ。
埼玉県川越市の「いしがみ整形外科クリニック」のホームページは、4月の緊急事態宣言以降、1カ月の閲覧数が20万にまで跳ね上がった。なかでも、ドケルバン病について説明したサイトへの閲覧数は6千を超えた。
ドケルバン病とは、手の腱鞘(けんしょう)炎の一つだ。以前は、美容師やピアニスト、テニスやゴルフプレーヤーなど指や手首を酷使する人にみられる職業病とされてきた。けれども最近は、一般の人が痛みを訴えるケースが増えている。
なかでも目立つのが、いわゆる「スマートフォン・サム(親指)」と呼ばれるドケルバン病だ。同クリニックの石神等院長は「ドケルバン病の患者さんに限れば、これまでは月にせいぜい3、4人程度。しかし、緊急事態宣言以降は8倍近くに増えました」と話す。
スマホ・サム。もとい、ドケルバン病とは、親指と手首をつなぐ2本の腱(けん)が炎症を起こした状態。親指を動かしたり、力を入れたりすると痛みやしびれが出る。ひどくなると腫れて力が入らず、物をつかめなくなることも。
「とくに、スマホの操作を片手で行う人、仕事でパソコンのキーボード操作をよくする人は、腱を痛めて炎症を起こしやすい。要注意です。パソコンのキーボードを打つときは、思った以上に親指を使いますし、角度によっては手首への負担も大きい」(石神院長)