安倍晋三首相は4月24日、新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開き、月末からの大型連休に向け、国民に接触機会の8割削減への協力を呼び掛けた。
緊急事態宣言の期限が5月6日に迫る中、感染状況を見極めて解除の可否を判断するという。少なくとも首都圏で延長は不可避との見方が広がる。6日までの折り返しを迎えた現在、国民の「自粛疲れ」はかつてないほど深まっている。
問題は出口が見えないことだ。世界最悪の感染者・死者数を記録した米国は今、どうなっているのか。ニューヨーク(以下はNY)在住のジャーナリストがレポートする。
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NY市郊外の医科大学に通っていたアレックス・チンさん(26)は今年の5月10日に卒業予定であったが、1ヶ月早まり4月10日に卒業。16日からは地元の病院でコロナ感染患者の対応に当たっている。
急激に増え続ける入院患者に対応するために、デブラシオ・NY市長は4月3日の会見で4万5千人の医療スタッフの追加支援を訴えた。それに応じる形でクオモ・NY州知事は同4日、州内の医学生を早めに卒業させて医療現場に派遣するという異例の行政命令に踏み切った。
あくまでも「自主的な」判断であり義務ではないというが、同じ大学の卒業生100人中40人がアレックスさんのように、NY州内の病院で感染患者の診療に当たっているという。
アレックスさんは現在ノース・ショア大学病院の内科に配属され、研修医として週6日、1日8時間勤務で、チームメイトと一緒に10人ほどの感染患者を担当している。
「自分の様な新米で役に立つのだろうか」
当初は不安を抱えていたが、人手不足の現場では即戦力として任され、患者の容体を確認し、家族との連絡などの対応をしている。
担当患者のほとんどは人工呼吸器を必要としない、比較的安定した状態にあるとのことだが、院内では患者の容態が急変し心拍停止などの緊急事態が発生した際に用いられる「コードブルー」のアナウンスが頻繁に響き、予断を許さない状態にある。
「在学中には、まさか自分がパンデミックの最前線に立つことになるとは考えもしなかった」