4月13日の会見でクオモ知事は、過去数日間の入院患者数が1万8千人程度で安定し、これまでの様な急激な感染患者数の増加は見られない事を受けて、「最悪の状態は脱したと思う」との見方を示した。

 しかし未だにNY州だけでも1日千人以上の新しい入院患者、そして400人以上の死者が出ており、地元の病院は必死の対応に追われている。クオモ知事も引き続き住民が外出を控え、他人と距離を保つことが、医療関係者を助けることにつながると強調した。また、地元の経済活動再開については、まだこれから慎重に見極めて行かなければならないと、人々に自制を促している。

 NYの現状から日本の人々に伝えられることは何か。それは米国において感染者の拡大が始まった当初、NYの医療が崩壊の危機に瀕するなど、多くの者が予想すらしていなかったことだ。行政の対応に不備があったのは確かだが、感染者の拡大はそれを差し引いても爆発的だった。だからこそ、一人ひとりの感染予防や他人にうつさないための心がけが極めて重要になる。それが、医療従事者にかける負担を減少することにもつながる。

 最近ここNYでは夜7時になると、それぞれの家から拍手やフライパンなどを叩く住民の歓声が聞こえてくる。この瞬間も働き続ける医療スタッフやその他の必要不可欠な仕事に従事する人々を、応援するためにいつの間にか地元でも広まった習慣だ。最前線に出て命懸けで働く人々を守るためにも私たち一般市民は、これからも自宅にこもって一緒に闘っていくしかない。

(新垣謙太郎)
※週刊朝日オンライン限定記事