河井夫妻の事件は黒川高検検事長の定年延長決定直後の1月15日、強制捜査で大きく動いた。そこには検察の思惑があったという。

「河井夫妻の捜査は黒川高検検事長の定年延長をよく思わない稲田伸夫・検事総長の意向もあったと検察内ではみられている。河井夫妻の事件をめぐっては稲田検事総長と黒川高検検事長のガチンコ勝負になるという声もあります」(前出の捜査関係者)

 自民党のベテラン議員がこう漏らす。

「新型コロナウイルス対応で安倍政権の支持率は急降下だ。そこに河井夫妻が逮捕となれば、安倍政権の存亡にかかわる。前代未聞の黒川高検検事長の定年延長も安倍政権が盤石だからこそ、実行できた。河井夫妻が県議や市議に金をバラ撒いたのは買収でなく、政治活動のための寄付でしょう。黒川高検検事長なら理解してくれるはずと、捜査のブレーキ役を期待する声が聞かれます」

 捜査の行方から目が離せない。(今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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