河井案里参院議員の公設秘書の初公判が20日、が行われる(C)朝日新聞社
河井案里参院議員の公設秘書の初公判が20日、が行われる(C)朝日新聞社
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 河井克行前法相夫妻の公選法違反事件の外堀がいよいよ埋まってきた。

【写真】これが河井克行前法相が手渡した現ナマ30万円

 自民党の河井案里参院議員が初当選した昨年7月の参院選で公選法違反(買収)の罪に問われた案里氏の公設秘書、立道浩被告の初公判が4月20日、広島地裁で開かれた。

 立道被告は起訴内容の認否を保留。裁判で立道被告の禁錮以上の刑が確定し、「百日裁判」で連座制の適用対象と認定されれば、案里氏の当選は無効となり失職する。

 その一方で、広島地検と東京地検特捜部は合同で河井夫妻の公選法違反事件の捜査を粛々と進めている。4月16日朝、平本徹県議の事務所などを広島地検が家宅捜索。「広島の重鎮」と呼ばれる檜山俊宏県議らに続いて、県議としては3人目の捜索だった。

 また河井克行氏から20万円を受領して、辞職した安芸太田町の前町長の小坂真治氏や広島県議、同市議ら7人を広島在住の76歳の男性が公選法違反の疑いで広島地検に告発。河井包囲網が着々と進行しているのだ。

「東京地検特捜部から10人ほどの応援をもらって捜査している。広島地検では場所が足りず、市内のホテルに部屋を確保して、連日5~10人の市議や県議を聴取している」(捜査関係者)

 事情聴取で克行、案里両氏から現金を受け取ったことを認めている市議や県議もいる。事情聴取を受けた議員の一人はこう打ち明ける。

「確かに克行氏から現金をもらった。返そうとしたが『まあまあ』と言われ、とりあえず預かったという事情を話し、供述調書を作成した。東京地検特捜部の検事が担当でした」

 前出の捜査関係者がこう話す。

「案里氏と克行氏を逮捕する意気込みだ。国会開会中の逮捕許諾請求も視野に気合が入っている」

 現場からこうした声が聞かれる一方で、「大丈夫かな」と心配する検察幹部もいる。その理由をこう解説する。

「国会議員2人を逮捕となれば前代未聞の事件になる。東京地検特捜部が加わり、万全を期す検察だが、いずれ東京高検もラインに入ってくる。官邸の強い意向で定年延長となった“官邸の門番”黒川弘務・高検検事長が口をはさんでくることも想定される」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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