「たとえばNHKは、オリンピック中継に予定していた何百時間もの枠がすべて飛んでしまうことになります。今撮影できているドラマなども、いつまで撮れるかわかりません。バラエティーや情報番組は、出演者の数を減らしたり、モニターでのテレワーク出演を行ったりしています。3月はじめの『R−1ぐらんぷり』あたりから無観客での収録になり、観客とのやり取りを番組の軸にしている番組では、観客を『出演者』扱いにして対応したケースもあったようです」

 芸能評論家の三杉武さんはこう分析する。

「番組スタッフや出演者だけでなくタレントのマネジャーやメイクなど、テレビ番組は関わる人数が多く、それが各社にわたるため、収拾がつかない状況です」

 前出の芸能評論家・三杉武さんは一方で、ある“可能性”に希望を託した。

「総集編や再放送などで穴埋めをするにも限界があります。コンテンツが足りない状況が訪れることになりますが、そこで何かいい知恵が出て、新規視聴者や新たな番組スタイルの開拓につながることもあるのではないでしょうか」

 出口の見えないトンネル状態はいつまで続くか。
(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2020年4月17日号