他人の借金を肩代わりする保証人についてのルールも新しくなる。借金を返済できなかったり、家賃を払えなくなったりした場合に、保証人に請求できる上限を、あらかじめ決めておかなければならない。契約書などに金額が明示されていなければ、契約そのものが無効になることもある。

 個人が事業用融資の保証人になるには、原則として法律の専門家である公証人による意思確認が必要になる。保証契約を結ぶ1カ月前までに、「保証意思宣明公正証書」をつくる。保証債務を履行するリスクなどについて、きちんと理解しておくことが前提となる。

 この制度は3月1日から始まっていて、公正証書をつくる手数料は保証する金額に関わらず1件につき1万1千円。

 保証人のルール変更は、アパートやマンションの賃貸借契約にもおよぶ。気になるのは、保証の上限額がどのくらいになるか。法律の専門家は、過去の判例で認められた連帯保証人の負担額が目安になると指摘する。

「国土交通省によると、連帯保証人の負担額は平均で家賃の13.2カ月分、中央値で12カ月分です。保証人が肩代わりする上限額は、家賃の半年~2年分くらいが妥当ではないでしょうか」(法曹関係者)

 貸し手が損をしないように、上限額をより高めに設定することも考えられる。契約書で示された上限額を見て、保証人になるのを断る人も増えそうだ。保証人が見つからなければ、お金を払って保証会社を利用することになり、借り手の負担が高まる。(本誌・池田正史、浅井秀樹)

週刊朝日  2020年4月3日号より抜粋

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら