室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、新型コロナウイルスをめぐる政府対応のずさんさにうんざりする。

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 どなたかがツイッターで「ウイルスは忖度してくれないぞ!」といっていたが、ほんとうにその通りだと思う。

 新型コロナウイルス対策の数々の落ち度を知って思う。この国のインテリジェンスはどうしてしまったんだろうと。

 2月22日の「TBS NEWS」によると、新型コロナウイルスの集団感染が起きているクルーズ船内で業務していた、厚生労働省などの職員の多くが、ウイルスの検査を受けずに職場に復帰していたという。

「船に入った90人を超える厚労省の職員のうち熱などの症状が無い職員はウイルスの検査を受けずに元の職場に復帰しているということです。(中略)クルーズ船に入った厚労省以外の国の職員や災害派遣医療チーム『DMAT』の医師らも、症状が無い人は検査を受けていないことも分かりました」

 すでにクルーズ船内で業務をしていた国の職員でも複数人の感染者が出ているのに。

 そして、さらに呆(あき)れてしまうのが、なぜ検査をしなかったのかその理由だ。

「陽性者が多く出た場合の業務への影響を懸念する声などがあがり、見送られたということです」

 だは~。すんげ。国として、ウイルス対策、本気でやる気ないだろ。彼らがしたいことは、この問題を小さく見せることでしかない。

 ウイルスを封じ込めるためには、実態をきちんと把握しなきゃならない。検査結果はその後のデータにもなる。

 なぜこういうことが起きるのか? ある方は、今年、東京五輪があるからではないか、といっていた。

 東京五輪をなにがなんでも開催したいから、世界に向け、日本の感染者数を少なく見せたかったのではないかと。

 でも、だからこそあたしは、きちんと実態を把握し、それを正直に発信すべきだと思う。

 この国では首相の嘘(うそ)や、公文書の改ざんや隠蔽(いんぺい)が、もはや当たり前のことになってしまった。が、この国以外の人たちに、それは許されるのだろうか?

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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