競技用の車いすでスラロームに挑戦 (撮影/写真部・大野洋介)
競技用の車いすでスラロームに挑戦 (撮影/写真部・大野洋介)
2020年東京パラリンピックの日程 (週刊朝日2020年2月28日号より)
2020年東京パラリンピックの日程 (週刊朝日2020年2月28日号より)

 2020年東京パラリンピックの開幕まで約半年。五輪に比べれば、観客動員数も露出も劣るかもしれない。でも、おもしろい競技がたくさんある。まずはやってみないことには、その奥深さは伝えられないだろう。そう思い立った記者は2月2日、パラスポーツの体験会に挑戦した。

【表】2020年東京パラリンピックの日程はこちら

*  *  *

 足を運んだのは、東京・足立区総合スポーツセンターで開催された「障がい者スポーツフェスティバルinあだち」だ。休日とあって親子連れが多く、小学生の参加者が目立った。

 数あるブースのなかで、整理券を配るほどに人が集まったのはブラインドサッカー(ブラサカ)。パラリンピックでの競技名は5人制サッカーだ。視覚障害者のために考案されたスポーツで、ルールはサッカーやフットサルとほぼ一緒。衝立で仕切られた、フットサルと同じ広さのコートでゴールを奪い合う。

 健常者であるゴールキーパー以外の選手は、視覚障害の程度によって三つのクラスに分けられる。全盲、ほぼ全盲の選手はB1、弱視の選手はB2とB3(視力と視野の程度で振り分け)となる。5人制サッカーに出場できるのはB1クラスで、アイマスクを着用する。ボールには鈴が入っていて、転がる際に鳴る音を頼りに位置を把握する。

 いざ体験。記者はフットサルを少しかじっており、多少の自信があった。だが、アイマスクを着けると、勝手が違った。距離感を全くつかめない。鈴の音を頼りにしても空振りばかり。「半歩だけ右」「行きすぎ」と周囲は指示してくれるのだが、恐る恐る足を出してもボールの位置がわからない。まぐれで足に当たろうものなら、ボールがどこにいったのか再びわからなくなる。何かにぶつかってしまうのではという恐怖心もあり、立ちすくんでしまう。

 そして、意外と鈴の音が聞こえない。周囲の雑音と混ざるとお手上げだ。そのため、競技中は観客も含め、声を出したり音を鳴らしたりするのは禁止。静寂がルールだ。

 日本ブラインドサッカー協会のスタッフとして指導にあたった辻一幸さん(37)も競技者だが、最初は戸惑ったという。

著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
次のページ