「例えば車いすバスケなら、車輪を操作しながらボールを運んでシュートを打つ。ボールを持ち上げれば、車輪は動かせないはずなのに、鮮やかにプレーします。天才的だし、なんてかっこいいんだと思えます」

 観戦の際には選手の車いすさばきにも注目したい。

 次にボッチャを体験した。ルールは氷上で行われるカーリングに近く、「地上のカーリング」とも呼ばれる。ジャックボールと呼ばれる、的となる白い球に向かって、先攻後攻それぞれが赤と青の球を6球ずつ転がし合い、いかに近づけるかを競う。重度脳性麻痺者や四肢重度機能障害者のために考案されたスポーツだ。

 使用される球は革製で、野球の硬式球より少し大きいくらい。お手玉のように柔軟性があり、重さは300グラムほどだ。

 体験したのは3人対3人の団体戦。記者は60代の女性と小学生の女の子と組んだ。

 一人の持ち球は2球。先攻チームが審判の「ジャックボール、プリーズ」の掛け声を合図にコート内に白い球を投げ入れる。それが的となる。ぴったり寄せるべく持ち球を転がすのだが、力加減が難しい。球には柔軟性に加えて重みもあるのですぐ止まるだろうと投げたところ、的球を大きく越えてしまった。

 とはいえ、ミスしても他の投げ手がカバーしてくれるのが団体戦の魅力でもある。味方が相手よりも的球に寄せると、思わず「ナイス!」の声が出た。ハイタッチも交わすなど、自然とコミュニケーションが生まれる。力も必要なく、年齢もハンディとはなりえない。ゲーム性が高く、誰でも楽しめる競技だ。

 何かと五輪の陰に隠れがちなパラリンピックだが、清水さんはこう力説する。

「想像がつかないような動きを見せる選手たちが集まるのがパラリンピック。こんなおもしろい世界はありません。障害者という枠を一度拭い去って見てほしい。五輪と変わらぬスポーツなんです。生観戦すれば必ずハマります。東京開催という格好の機会。ぜひ触れてほしいです」

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