出岐さんも後輩をこう思いやる。

「吉田選手の注目や活躍は、OBとしてもうれしい。でもそれに惑わされず、自分の人生を判断してほしい。自分の好きな道を選んで、後悔しないでほしい。(競技を)やるならやる。走りたくなかったら、やめればいい。どんなに得意でも、目標や好きな気持ちがないと続けられない。これが陸上なんです」

 25歳で選手生活から退いた出岐さんは、引退した理由について「箱根(駅伝)以上の目標が見つからなかった」と後に語っていた。

 吉田はこの4月から菓子メーカーの「ブルボン」に就職し、競技から離れることを公言しており、昨年末に行われた記者会見で「将来の夢は」と聞かれてこう答えている。

「僕の同期から実業団に多く進むので、国際大会で卒業する同期を現地で応援したいな、と思っています」

 箱根駅伝、別大マラソンの走りを見た一陸上ファンとしては、さらに大きな花を咲かせた吉田の姿も見てみたい、との思いも捨てきれないところだが……。(本誌・大崎百紀)

※週刊朝日オンライン限定記事