「箱根駅伝の区間記録を作るレベルの選手の練習の量や質というのが、マラソンに対応できるだけのものをつくりあげていると思うし、吉田選手の身体能力の高さもあると思います」

 しかも2時間8分30秒。

「昭和の時代には世界記録に匹敵するタイムです」(同)

 レース後、吉田はインスタにこう書きこんだ。

「初マラソン楽しかった 総合3位、日本学生歴代2位という結果でした!沿道から応援してくださった方、テレビで応援してくださった方、本当にありがとうございました 東京マラソンへ出る二人にもまた応援をよろしくお願いします」

 青学の先輩はどう見ているのか。中国電力の出岐雄大(たけひろ)さん(29)は、吉田にこうエールを送る。

「(原監督の指導のもと)青学の選手であれば、ある程度の結果は残せると思うが、吉田選手は、スタミナだけでなくスピードもある。監督が見極めたマラソン適正の選手と思います。おめでとう!3位は素晴らしい」

 出岐さんの学生時代は、吉田とは対照的だ。4年間箱根を走り、2年時は「華の2区」で11人抜き、3年時も2区で9人抜きと華々しい活躍をし、青学史上初となる区間賞を獲得。その後の青学の黄金時代の礎を作った。

 箱根で活躍した出岐さんは大学卒業後、原監督らの周囲の期待に応えるように、実業団に入りマラソンの世界に。出岐さんも、吉田と同様、初マラソン(2012年のびわ湖マラソン)で、2時間10分2秒という好成績を残した。

 別大マラソンでの吉田の快走後、SNS上では、「出岐のびわ湖マラソンを彷彿(ほうふつ)させる」との声も上がった。

 上田さんはこう話す。

「ご本人にとっても、そういった声は、嫌なことではないと思います。今回の結果も新たな達成動機を得るきっかけになったのではとは思います。(確かに)やると決断されたら、非常に楽しみな選手です。しかし、ご自身の人生ですから、しっかり考えていただきたい。(陸上競技で)上を目指すのか、それとも仕事をやりながら走ることをシンプルに楽しむのか。人生のQOL(クオリティー オブ ライフ)を考えていただきたいと思います」

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