さらに、石原さんは、実社会を意識した出題傾向を踏まえ、これからの受験生は「統計」を重視すべきだと考えている。

「『統計』は国も力を入れている。いろんな形で出題ができます。これが今、一番大事な数学です。ビッグデータ、経済活動、社会学など、文理関係なく何でも関わってきます」

 共通テストでは、思考力、判断力、表現力を問うことが基本的な考え方になる。その傾向を先取りしたように、今回のセンター試験では数学I・数学Aで単純に数値を当てはめるのではなく、正しい記述を選ぶ問題が出されたことも特筆すべきだ。
「選択肢の文章が長く、消去法では答えが出せず、正解を吟味する必要がありました。フェイクの選択肢も混ざっていて、今までにない“新傾向”の問題でした」(稲木さん)

 一方、教科ごとの傾向として、これから大学受験を迎える中高生やその親の関心が高いのは、英語。具体的にどんな点が変わるのか。

 発音やアクセント、語句整序の単独設問がなくなり、設問はすべて英語で記載される。さらに、筆記200点、リスニング50点だった配点比率が、筆記100点、リスニング100点となり、従来よりリスニングの比重が大きくなる。しかもセンター試験では2回読みだった問題文が、将来的にすべて1回読みに切り替わる。

「2回読みが1回読みに変わることで、問題文の長さが長くなり、分量が増えます。できる人とできない人で差がついて、英語は確実に平均点が下がるでしょう」(石原さん)

 共通テストは、出題パターンがかなり変わる印象を受けるが、受験生はそれほど構える必要はないという。センター試験と同じで、出題は教科書の範囲。国公立の2次試験レベルの問題が出されるわけではなく、あくまで利用するすべての大学に「共通」の問題だ。入試難易度がさまざまな大学の最大公約数と考えれば、問題を解く上でそれほど高度な知識が必要とされているわけではない。

 冒頭の漢文の問題も、イラストに驚かされた受験生が多かったようだが、「難しかった」という声は少ないようだ。

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