「一つは、文章、図、グラフ、絵など複数の資料から、必要な情報を的確に読み取る力。もう一つは、得た情報を分析して、関連づけたり、統合したりする力が問われていると、われわれは分析しています」

 例えば、今回のセンター試験の英語の筆記では、こんな問題が出た。ボール投げの正確性を高める訓練について説明する英文があり、設問ではボールを投げた的の図が示されている。そこから合計点を計算させる。英文読解と図表の読み取り、計算を組み合わせた。

 駿台の石原さんもこの英語の問題に注目した。

「英語のテストで計算をさせる問題は、試行調査でも同様の出題がありました。共通テストでも似たような問題が出るでしょうね」

 もちろん、複数の資料を読み、解答を導きだすような問題は、英語に限って出題されるわけではなさそうだ。冒頭の漢文の問題も複数の資料から解答を導くような出題パターンといえる。

 河合塾の稲木さんが例として挙げたのは、18年の試行調査の数学I・数学Aの確率の問題。二つの箱から2人がくじを引いていくのだが、問題文がかなり長い。4ページにわたって、くじを引く場面の設定文、くじを引く2人の会話文、計算式が交互に続き、それらを読み進めながら解答を導く形式だった。

「共通テストは全教科を通じて(複数の資料を読み解く力と、情報を統合する力の)二つの力が問われると思います。試行調査の英語や国語では、文章を読んでポスターやノートの空欄を埋めるような問題がありましたが、これは得た情報を分析したり統合したりする力を見ていると思われます」

 実社会を意識した出題も共通テストでは増えてくるだろう。今回のセンター試験でもその傾向が見られた。

「倫理でAIの話題が取り上げられたり、全体的に題材に会話文が多いなど、今の時代に即した試験内容でした。その傾向は共通テストになるともっと顕著になるでしょうね」

 と話すのは石原さんだ。現代社会の問題には東京五輪・パラリンピックをテーマにした会話もあった。このように問題文の題材は、実生活で話題になっているテーマや社会問題が増えることが予想される。

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