バスケットボール部稲門会(略称:RDR)でも、現役生への支援が課題となっている。ちなみにRDRとは、大隈重信が「あるんである」と語尾につけていたことをモジったもの。会員は500人(男子370名、女子130名)いる。

 同会副理事長の田中有哉さん(01年卒)は、これまでOB・OGと部員とのつながりは弱かったと振り返る。以前は卒業生といえば練習を見に来ては理不尽にしかるような人もいて、それに不満を抱く部員も少なくなかった。時代は変わり、科学的なトレーニングが浸透している今では、卒業生がアドバイスできる部分は少なくなった。

「練習以外でも卒業生が支援できることはあり、そこが問われています。いま取り組んでいるのは就職支援。部員との関係は良好ですし、引退した部員がRDRの活動に参加する流れができてきています」(田中さん)

 新入部員にはガイダンスをして、将来社会で活躍することも見据えて、早稲田大でバスケをやる意味を考えてもらう。就職活動が始まれば、エントリーシートの添削や面接の練習のほか、OB・OGのネットワークを生かし志望企業の社員を紹介する。

「就職活動は早期化していて準備は大変です。負担を減らすことで、部活動にもより集中することができる。総合商社やマスコミ、金融など、ほとんどが第一志望の企業に就職できています」(同)

 さらなる目標としてはバスケ部の法人化がある。背景にあるにはバスケ人気の高まりだ。もともと高校や大学バスケには根強いファンが多い。男子プロバスケットボールが16年に発足し、今年は米プロバスケットボールのNBAで八村塁選手が活躍するなど、盛り上がっている。

 そこでバスケ部を法人化し、ファンを巻き込むことで収益を上げることを狙う。本当の目的は学生自らが法人を経営することで組織運営の力を磨くことだ。RDR副会長の河野宏子さん(89年卒)はこういう。

「アンテナの高い学生はやる気になっている。どうしたらファンが増えるか、部を強くするためには何が必要かなど意見が出るようになり、考え方が変わった。こうした成長を見られるのが楽しい。私たちが活動に参加する理由は愛校心やバスケ部への愛もありますが、仕事では味わえない感動があるからなんです」

 前出の田中さんはこうつなぐ。

「法人化して収益を上げるにはファンを増やす必要がある。それは一般の人を巻き込むということ。仲間内だけで完結しないことが早稲田の強みです。この点は慶應三田会にも勝っているのではないでしょうか」

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アジアからの留学生に熱視線、現地に校友会設立