「イチロー杯」閉会式であいさつするイチロー氏=2019年12月22日(C)朝日新聞
「イチロー杯」閉会式であいさつするイチロー氏=2019年12月22日(C)朝日新聞
日米野球で観客の声援に応える、大リーグ選抜の松井秀喜ベースコーチ=2018年11月(C)朝日新聞社
日米野球で観客の声援に応える、大リーグ選抜の松井秀喜ベースコーチ=2018年11月(C)朝日新聞社

 大リーグ・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏が、2019年12月上旬に行われた資格回復研修会を受講したことは大きな話題を呼んだ。プロ野球経験者が学生野球の指導者になるための研修会で、20年2月の日本学生野球協会の審査に通れば、資格回復が認められる。球団在籍中は資格回復が認められていないが、イチロー氏は球団の活動をしない時期限定で特例的に指導することが認められる模様だ。

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 イチロー氏は19年3月に行われた引退会見で、監督や指導者に将来なるのかについて、

「監督は絶対無理ですよ。絶対がつきますよ。人望がない。本当に。人望がないですよ、僕」

 と否定的だったが、一方でこう発言していた。

「プロの選手、プロの世界というよりも、アマチュアとプロの壁というのが日本は特殊な形で存在しているので。今日をもってどうなんですかね。そういうルールって。どうなんだろうか。今までややこしいじゃないですか。例えば極端に言えば、自分に子供がいたとして、高校生であるとすると、教えられなかったりというルールですよね。そういうのって変な感じじゃないですか。今日をもって元イチローになるので、それは小さな子供なのか、中学生になのか、高校生になのか、大学生になるのかはわからないですけど、そこには興味がありますね」

 今回、イチロー氏が資格回復研修を受けたことは、野球界にとって大きな意味を持つ。現役時代にイチロー氏の番記者だった記者は、

「既存の固定観念に縛られるのを嫌う方なので、私たちを驚かせる道を選択する可能性は十分にあると思います。子供が大好きですし、監督になったらどういう指導をするのか興味深いです」

 と期待を込める。イチロー監督が実現したら、アマチュア界に新風を起こすことは間違いないだろう。

 イチロー氏と共に「世代の象徴」としてプロ野球を盛り上げてきたヤンキースのGM特別アドバイザーの松井秀喜氏には、「巨人監督待望論」が根強い。ただ、その風向きが変わりつつある。後輩の阿部慎之助が今季限りで現役引退し、2軍監督に就任した。スポーツ紙デスクは、

「原監督の後は阿部2軍監督にバトンタッチするのが自然の流れでしょう。高橋由伸前監督も再登板する可能性がある。ニューヨークに生活の拠点を置く松井氏が監督に就任するのは現実的でないですね」

 と分析する。プロ野球ファンはイチロー監督と松井監督の対決を見たいかもしれないが、それはかなわない夢かもしれない。(牧忠則)

※週刊朝日オンライン限定記事