住宅ジャーナリストの桜井幸雄さんは、「マンションの角住戸の購入者はお金にゆとりのある人が多いのでは」とみている。マンションでは両隣を挟まれた住戸よりも、角の方が窓を取り付ける面が多くなり、値段も高くなりがちという。さらに、角の方が広い部屋にすることが多いため、さらに値段が跳ね上がる。

 角だと玄関先の共用廊下を歩く人がいないため、廊下を歩く音も聞こえづらい。このように角は様々な点で条件が良く、値段が高くなりがちというわけだ。

「誰でも角の住戸に住みたいのですが、予算の制約があってあきらめる人が多いのです」(桜井さん)

 今回の調査では、低層階かせいぜい中層階の「01号室」の社長が多かった。データを集計したTSRでは、長野県(平均3.16階)や山梨県(同3.18階)、栃木県(同3.21階)などの内陸にタワーマンションが少なく、社長が高層階に住む機会が少ないことが大きな要因とみている。

 一方、タワーマンションが立ち並んでいる東京都中央区や港区で見ると、社長が住む平均階数はそれぞれ13.37階、10.78階となっている。桜井さんはこんなふうにみている。

「50万人もの社長になると、そのうちにはサラリーマン社長も多くいて、『上の下』とか『上の中』の物件を買う人が多いのではないでしょうか。マンションでは上の階の住戸になるほど値段が高くなります」

 さらに、低層階や中層階の住戸の方が売却するときに売りやすいと、桜井さんは指摘する。値段が高くなると、売ろうとしてもなかなか買い手がつかないためという。

「売りやすい家、貸しやすい家というのは都心で1億~1.2億円ぐらいです。これぐらいの物件は回転が早いと言われています。地方ならば7千万円くらいでしょうか。このあたりの値段なら、中、低層階の角住戸が多くなるのかもしれません」

 さらに住宅を選ぶ場合、一戸建てよりもマンションの持つ長所に、会社の経営を預かる身として、魅力を感じた社長もいるのかもしれない。
「自然災害で怖いのは一戸建てです。被害はマンションよりも一戸建ての方が多く、激しいです。防犯面でも、セキュリティーの高いマンションの方が安全です」(桜井さん)

 今回の調査では、建物が何階建てかまではわからなかった。比較的に小規模物マンションなら、各階の部屋数が少なくなり、「01号室」を選ぶ可能性が高まるのかもしれない。

 多くの社長が住む「01号室」。あなたも住んでみたくなりましたか?
(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日オンライン限定記事