「社員が重大事件を起こせば指名停止どころか自ら辞退するのがスジです。それをたった3カ月の指名停止で、市長以下が済ませてしまった。当時の市の幹部は『短すぎる』と怒っていましたが、A社の会長と萩生田氏が親しい関係にあるのは八王子では有名なので、忖度があったのか、それ以上、追及されなかった」

 また、萩生田氏の地元事務所のうち1室がA本社ビルに入居しており、毎月18万円が「事務所家賃」として支出されている。

 A社は、萩生田氏が代表を務める自民党東京都第24選挙区支部に14年1~11月、指名停止期間も含めて毎月5千円ずつ献金している。だが、ちょうど処分が明けた12月5日付で100万円も献金していた。もっとも14年12月には総選挙があったので、萩生田氏の政治資金収支報告書を見ると、他にも選挙月には献金額が増えている企業もあるのだが……。

 萩生田氏の事務所は文書で次のように答えるのみだった。

「政治資金は法令に従い適正に処理し、その収支を報告しているところです。ご指摘の寄付も法令に従った適正な寄付であることはご存じのとおりです。ご指摘の事実があったことを踏まえ、今後もさらにコンプライアンスを徹底し、政治活動に専念して参りたいと思います」

 指名停止処分業者から献金を受け、発覚後、道義的責任を考慮して大臣たちが献金を返金したというのはままある話。いまのうちに清廉さをアピールしておくのが身のためでは。(今西憲之 本誌 上田耕司)

週刊朝日  2019年12月27日号より抜粋

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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