この先、認知機能が低下するようなことがあると、相続に向けた財産の取り扱いをどうするのかも気になるところだ。みずほ信託銀行信託業務室室長の相馬竹秀さんは、

「認知症を発症した状態で本人の財産を動かそうとすると、成年後見制度を利用することになる。弁護士などの職業後見人が指定されると、月額3万~5万円の報酬が発生する」

 と指摘する。

 こうした認知症への備えとしても、昨今、有効な信託商品が出てきている。

 年末年始には普段離れて暮らしている家族が集まり、改まった話をする時間も取りやすい。相続に関しては、利益を得る子どもから言いだすのはハードルが高く、親のほうから歩み寄る必要がある。チャートをきっかけに、ぜひ、親子でわが家の相続について話し合う時間を持ってほしい。(ライター・森田聡子)

<チャート わが家の相続に揉めそうなリスクはあるか>
■揉めるリスクの確認
A 配偶者が同居する子や子の配偶者と不仲(はい・いいえ)
B 子ども同士が不仲、もしくは没交渉 (はい・いいえ)
C 子どもがいない (はい・いいえ)
D 認知していない非嫡出子がいる (はい・いいえ)
E 相続財産に占める不動産の割合が大きい(はい・いいえ)
F 特定の子どもや孫にだけ多額の資金援助をした(はい・いいえ)
G 特定の親族が介護に大きく貢献している(はい・いいえ)

週刊朝日  2019年12月20日号より抜粋