会見した「チュートリアル」徳井義実(c)朝日新聞社
会見した「チュートリアル」徳井義実(c)朝日新聞社

 お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実(44)が設立した会社が所得隠しなどを東京国税局から指摘された問題で、TBSが2番組で徳井の降板を決めるなど、テレビ各局は対応に追われている。ここで再び注目されているのが、徳井の出演が予定されていた収録済みのNHK大河ドラマ「いだてん」だ。

【写真】謝罪会見でのチュートリアル徳井 

「いだてん」にとって、出演者の不祥事は2度目。主人公にマラソン用の足袋を提供する足袋店の店主を演じていたピエール瀧(52)=麻薬取締法違反(使用)罪で有罪判決=が3月に逮捕され、降板した過去がある。

 徳井は11月3日放送の第41話から第47話まで、1964年東京五輪で「東洋の魔女」と呼ばれたバレーボール女子日本代表の大松博文監督役で出演する予定だった。NHKは10月29日、徳井の出演シーンをカットするなどした上で放送すると発表した。

「いだてん」は第39話の平均視聴率が3・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最低を更新するなど視聴率で低迷中。そこに不祥事が重なる最悪の流れとなったが、「撮り直しは難しい」と言うのは芸能評論家の三杉武氏だ。

「共演者のスケジュール調整が難しく、放送までに撮り直ししても間に合わないでしょう。もっとも、受信料をもらって放送しているNHKは世間の声を相当気にするようになっている。出演者にこうした騒動があると身体検査をきちんとしているのかという指摘も受けるため、被害者面もしにくく、それなりの対応が求められます」

 徳井は2009年に会社を設立後、18年9月ごろに税務調査を受けるまで期限内に申告したことが一度もなかった。税務署の督促も無視し、16年5月ごろに銀行預金を差し押さえられた。1億円超の追徴金を払って修正申告し、吉本興業は徳井の活動自粛を発表したが、吉本関係者は言う。

「吉本興業の芸人の間では、年収4千万円を超えると個人事務所にして会社からギャラを受け取ったほうが節税につながるといわれている。それで徳井もそうしたんでしょう。徳井が依頼した税理士は別の芸人もお願いしている。決して悪い先生じゃない。けど、申告だけを依頼しているケースが多く、他の芸人も同じようなケースがあるのではないでしょうか。会社を持っている芸人はけっこう多いですからね。今回も闇営業問題のように火消しができないほど広がらないか、お偉いさんは真っ青だ」

 騒動は収まりそうにもない。(本誌 田中将介)

※週刊朝日2019年11月15日号