千葉県茂原市では中心部を流れる川があふれ市役所周辺も浸水した=10月25日、市提供
千葉県茂原市では中心部を流れる川があふれ市役所周辺も浸水した=10月25日、市提供
千曲川の堤防が決壊し、浸水する周辺の住宅=10月13日、長野市 (c)朝日新聞社
千曲川の堤防が決壊し、浸水する周辺の住宅=10月13日、長野市 (c)朝日新聞社
台風19号の大雨で満水になった八ツ場ダム。治水効果の検証はこれからだ=10月16日、群馬県長野原町 (c)朝日新聞社
台風19号の大雨で満水になった八ツ場ダム。治水効果の検証はこれからだ=10月16日、群馬県長野原町 (c)朝日新聞社
八ツ場ダム建設予定地を視察した民主党政権の当時の前原誠司・国土交通省。前原氏は中止を打ち出したが民主党の当時の野田佳彦首相が建設再開を決めた=2009年、群馬県長野原町 (c)朝日新聞社
八ツ場ダム建設予定地を視察した民主党政権の当時の前原誠司・国土交通省。前原氏は中止を打ち出したが民主党の当時の野田佳彦首相が建設再開を決めた=2009年、群馬県長野原町 (c)朝日新聞社

 台風19号の復旧作業も終わらない中、再び大雨が襲ってきた。

 10月25日、台風21号の影響を受けて関東や東北を中心に豪雨となり、千葉県や福島県などで浸水被害が相次いだ。各地で川が氾濫(はんらん)し、避難勧告や避難指示が出された。福島県の高の倉ダム(福島県南相馬市)では、ダム決壊を防ぐための緊急放流が実施された。この大雨による死者・行方不明者は10人を超えそうだ。

 千葉県では、半日で1カ月分を上回るような大雨となった。土砂崩れもあり、千葉市内では住宅が押しつぶされ、住民が亡くなった。茂原市では市役所周辺が冠水した。市の職員がこう証言する。

「市役所の目の前を流れる豊田川の水かさが増してきて、25日正午過ぎに橋の高さを超えました。その後、じわじわ水位が増して住宅地に浸水してきました。市役所の近くにある公民館に住民の方々が避難していましたが、午後4時半過ぎには公民館が床上浸水し、停電しました。住民の方々は、公民館から市役所に再び避難する事態になりました」

 このように今回の大雨では、各地で急激に川の水位が上昇し、浸水するケースが目立った。

 上陸から2週間たった台風19号の被害も大きかった。全国で死者・行方不明者は90人超、河川の堤防決壊は140カ所に上り、住宅被害は床上・床下浸水を含め計7万棟を超えた。

 繰り返される水害にはなすすべがないようにも思えるが、安倍晋三首相がよく言うように「国民の生命と財産を守る」のが政府の役目。台風19号では行政のミスや水害対策の遅れが発覚しており、責任が問われる。

 台風19号では茨城県内の那珂川で、国土交通省の職員が水が堤防を越えているのを確認しながら、「現場が混乱していた」などとして、氾濫発生情報を出していなかった。

 長野県飯山市では避難勧告が遅れ、河川の氾濫から数時間後になった。ほかの自治体でも住民に情報が適切に伝わらず、避難が遅れるケースがあった。

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堤防が不十分なところは3割にも上る