続いて、食事による口臭。ニンニクやニラを食べると翌日に臭うことから、平日は控えている人も多いだろう。あの臭いは胃から逆流したものと思っている人も多いと思うが、「実はそれは間違い」と五味さん。

「ニンニクやニラの臭いは、臭い成分のアリシンが胃腸で消化されずに血液中に入り、肺から呼気として出たものです。アルコールやたばこの臭いも同様です」

 肉の摂りすぎも注意。口臭が強くなりやすい。

「タンパク質は腸内細菌の悪玉菌のエサになり、異常発酵します。発酵で生じた臭いガスもアリシンなどと同じように腸から吸収されて、血液中に入り込んで呼気として吐き出される。今、極端な糖質抜きダイエットがはやっていますが、偏食は口臭対策からしてもオススメできません」(五味さん)

 食事直後は、果物を食べたり、緑茶や紅茶を飲んだりするといい。臭い成分を吸着するポリフェノールが含まれているからだ。同時に腸内環境を整えることも大事で、食物繊維と乳酸菌、オリゴ糖の三つを積極的に摂ったほうがいいという。

 さて最近、口臭について意外な真実が明らかに。ブレス・ハザードプロジェクトがまとめた「口臭白書2019」によると、口臭が深刻なのは男性ではなく、むしろ女性。しかも40代以上の中高年だった。

 プロジェクトでは、20~60代の男女214人の口臭を、専用の装置で測定。この結果、40代以上の女性の24.1%、約4人に1人が基準値を超える口臭レベルだった。対して、同年代の男性で基準値を超えたのは9.3%だった。

 なぜ男性より女性で口臭レベルが高かったのか。同プロジェクトメンバーの若林さんは、「女性は、更年期から老年期にかけて大きく体の状態が変わる。それが関係しているのではないか」と推測する。

「40代後半になると女性ホルモンが低下しはじめます。その影響で唾液の分泌が減ります。唾液には抗菌作用や自浄作用などがあり、口を乾燥から守っています。唾液の分泌が低下して口が渇くと歯周病菌の温床になりやすく、口臭の原因となる歯周病になるリスクが高まるのです。また、骨密度が減って歯を支える歯槽骨がもろくなり、歯周病が悪化しやすいのも、要因の一つかもしれません」

 この場合、今までのブラッシングなどの口腔ケアに加え、おしゃべりをする、口の体操をするといった対策で、唾液の分泌を促すことも重要になってくる。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2019年10月4日号