室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
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 作家・室井佑月氏は、千葉の大停電への政府の対応について、疑問を呈する。

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 東京電力ホールディングスは9月13日、台風15号の影響による千葉県の停電について、「最大2週間程度でおおむね全面復旧する」という見方を示した。

 ここまで大変なことになってしまったか。被災している人にしてみれば、3日の我慢か2週間の我慢かではうんと違う。2週間ならば家からいったん離れ別の場所へ移動のほうがいいのかもしれない。東電の発表はこれで2回目の修正である。最初の見通しが甘かったのか?

 自民党では千葉県での停電被害を受けた対策会議を開き、出席議員からは、「東京電力の復旧の見通しの甘さというのが、全体としてこういう所に響いているのではないか」という声が上がったらしいが、おまえらがいうか!てか、おまえらのボスはなにやってたんだ!という話である。

 そう、安倍政権こそ見通しが甘かったのだ。千葉の台風について、安倍政権は当初8日、「大きな被害は出ない」として関係閣僚会議を見送った。9日に被害の報告がちらほらとあがってきても「2、3日で復旧するだろう」との見方を共有した。

 そして13日になっても菅義偉官房長官に至っては、「(災害対応について)迅速かつ適切に行った」と発言した。

 彼らがこの間、千葉の被災者や被災地そっちのけで夢中になっていたことは、内閣改造。つまり彼らにとっては国民の命より、自分らの立場のほうが大事だったわけだ。

 台風被害に遭った千葉の姿は明日の我が身。この国の上層部に「千葉の復旧、早くしろ!」と声をあげ、少しでも為政者が迅速に動くよう尻を叩(たた)くのが正しいのだ。そして、彼らの初動の遅れという失敗を、決してうやむやにしてはいけない。失敗を繰り返されては困る。

 なのに、「被災地・被災者を政治利用するかのような政府批判」などという輩(やから)が現れる。ジャーナリストの有本香氏の13日付の夕刊フジのコラムをあげよう。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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