「やつら(大学幹部)のほうが偽装しているんですよ。領収書偽装の証拠は全部、オレは持っている。私への嫉妬でやったようなものです。オレはずーっと黙っていたんだ。オレのほうが有名だから、ひとことも言わず、辛抱して辛抱して、ずーっと辛抱していました。一生懸命やればちゃんと、こうやって成果が出ますよ」

――アドバイザリー契約を事前に報告していなかったことが問題になった。

「そんなのは全部やってましたよ。申請書を出しても、あの人たちが隠していただけです。そういう汚いことを一杯やってましたから。私は黙ってました、抑えてます」

――ナイキのピンクの厚底シューズ「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」の威力はありますか。

「威力はあるでしょうね。いい靴なんじゃないですかね」

――MGC4位の大塚選手のシューズはアディダスでしたが。

「それは大学時代から自分のはいているやつなので、やっぱり自分の好みというのがありますからね」

――五輪代表内定で、ナイキからのボーナスは大八木監督に出ますか。

「いや、出ません。中村と大学はまた別個ですから。中村は中村ですから」

――富士通ともアドバイザリー契約を結んでますが。

「富士通とはアドバイザリーをしてもいいよと理事長にも言われています」

――この問題は、結局、学長側も大八木監督も双方がおとがめなしで終わっているようですが。

「そうですかね、オレはわかりませんけども。オレには思いがありますよ。実際は名誉毀損(きそん)ですわね、あんなこと書かれて」

――ホルモン焼き店で「肩たたき」された時には、中畑さんもいたそうですが。

「中畑さんは言い含められてそうさせられただけ。私は何も一切、抵抗しなかった。みんなから、余計なことは言わない方がいいよ、と言われたので黙っていた」

などと言い、電話は切れた。

 駒大は第三者委員会での結論を踏まえ、どうするつもりだろうか。

「穏便に済まそうとの考えから、長谷部学長も大八木監督も、誰も傷つかない結論を出したという感じですね。『水清ければ魚すまず』ですよ。きれいな水では小魚しか育ちませんよ。栄養分たっぷりのにごり水だから、でっかい魚が育つ。スポンサー企業がアドハイザリー料をばらまいているから、強い選手が育つんです」(駒大OB)

 ナイキ社にも取材を申し込んだが、この日までに返答はなかった。アマチュアスポーツとスポンサー企業との金銭関係は様々な問題をはらんでいる。駒大の問題は氷山の一角と言えそうだ。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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