ボサノヴァの神様が“奇跡の来日”で起こした“珍伝説” (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ボサノヴァの神様が“奇跡の来日”で起こした“珍伝説”

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延江浩週刊朝日#延江浩
延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞

延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞

新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中 (c)Gachot Films/Ideale Audience/Neos Film 2018

新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中 (c)Gachot Films/Ideale Audience/Neos Film 2018

 映画はジョアンの近くまで行くが、なかなか会うことがかなわない。

 寄せては返すコパカバーナの波のように旅人の心は揺れ動き、背景に流れるボサノヴァのメロディーが彼の心情に優しく寄り添う。まるでさざ波が彼の心のひだを撫でるように。

 ボサノヴァは人間関係や日常の複雑さを示しているとも知った。リズムやボーカルが微妙にずれ、まるで予定が立たないあやふやな一日を象徴しているかのようだ。でも、ストレスフリーのスローライフにつながるとでもいうような。

 簡単に人を寄せつけなかったジョアンのラブソングだが、あくまで個人的な内容ゆえに力がある。彼が27歳で歌った曲が「Chega de Saudade(想いあふれて)」

君なしでは僕はダメなんだ/お願いだ、戻ってきておくれ/僕は生きていけない
君が帰ってきたら/海を泳ぐ魚よりもっと多くのキスをするよ

 ほとばしる情熱をクールに歌う。リオの海岸で金持ちの若者たちが女の子たちを眺めながら弾き語りしたのがボサノヴァの起源といわれる。都会生まれの音楽とはそういうものなのだろう。感情の抑制が育ちの良さや知性を醸し出す。今度もう一度番組でジョアンをかけてみよう。

週刊朝日  2019年9月27日号


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延江浩

延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。国文学研究資料館・文化庁共催「ないじぇる芸術共創ラボ」委員。小説現代新人賞、ABU(アジア太平洋放送連合)賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞

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