「魔法のランプの存在、ジーニーとのやりとり、王妃をめぐる争い……。話の展開もわかりやすくて、おもしろいですよね。加えて、ジーニー役のウィル・スミスが非常にマッチしています。コメディータッチで飽きさせない」(同)

 吹き替え版のキャスト配置も功を奏した。ジーニーの吹き替えを務めたのは、ベテラン声優の山寺宏一。オリジナルのアニメーションでも吹き替えを担当したジーニーを、「声優人生の大きな転機となった大切な役」と語る。「山ちゃんのジーニー」を求めて吹き替え版を見た人も多いだろう。

「昔は『オリジナルを見たい』と字幕が好まれましたが、近年は吹き替えが人気です。それは、アニメーションに声が合っていたり、あるいはミュージカルで歌を歌えたりという点で、プロの声優が演じることが多いからでしょう。“わかりやすい”映画を求めて吹き替えは支持する層が増えています」(同)

 9年前に興収100億円を突破した3作は、「アバター」(156億円)、「アリス・イン・ワンダーランド」(118億円)、「トイ・ストーリー3」のいずれも洋画だった。大高さんは、「当時よりも今年のほうが作品の強さで結果が出ている」と語る。

「2010年は“3D元年”です。『アバター』を筆頭に単価の高い3D鑑賞が広まり、興収が増えました。今年のほうが作品の力によって興収が上がった、いわば“本当の100億”と言えるでしょう」

 まれに見る傑作ぞろいの映画館。あなたはもう3作すべて見ましたか?
(本誌 緒方麦)
※週刊朝日オンライン限定記事